オープンフィッティング




■ オープンフィッティングって何ですか?


今補聴器業界ではオープンフィッティングの新製品が続々と発表されています。
ではなぜ各社オープンフィッティングの補聴器に力を入れるのでしょうか?



この表は難聴レベルの内訳と補聴器装用率です。


難聴レベルと補聴器装用率グラフ

ご覧のとおり軽度難聴の人が難聴者全体の40%を占める最も多いグループですが、補聴器装用率は最も少ない僅か10%です。
この市場を開拓することが補聴器の普及率に大きく貢献する訳です。

軽度難聴(平均聴力レベルが 20dB~40dB )の方は1メートル離れた人との会話は正確に理解できますが、更に離れたり小さい声の場合には聞き間違いなどが有り得ます。会話を正確に聞き取ることが必要な中学生や高校生、会議の多い会社員、 集まりに参加する女性などでは補聴器装用によって聞き取りが楽になります。

でも、なぜ補聴器装用率が10%なのでしょうか。それは一般的な加齢による聴力傾向として低域の聴力が良く、高域が悪いために(高音漸傾型)補聴器で耳の穴を塞いでしまうと、自分の声がこもったり、響いたり、食物を噛む音が以上に大きく響いてとても不快なためです。

そこでオープンフィッティングが考えられました。耳の穴(外耳道)を塞がずに補聴器からの音を鼓膜に届ける方法です。それには小さく薄い素材で、かつ大きな穴を開けた耳栓を使用します。
高音漸傾型の人は低音域は良く聞こえているので、耳栓の大きな穴から外の自然音を耳に入れ、高音域のみ増幅して鼓膜に届けます。また、耳穴が塞がっていないので外耳道共鳴という3kHz付近(子音が聞き易くなる)が共鳴のため大きくなって鼓膜に届きます。
ハウリング(ピーと鳴る音)が起き易くなるので、逆位相でその音のみを打ち消す回路が省電力で出来るようになったことも貢献しました。


自然な外耳道共鳴グラフ

耳かけタイプが主流ですが小型軽量(1.7g)で補聴器から音を伝えるチューブがうんと細く(1mm程度)出来るので目立ちません。
耳栓をレシーバーにすることによってチューブ内での共鳴を 失くし、コードなのでチューブを更に細く、そしてデザイン性に優れたものも発売されました。



■軽度のオープンフィッティング補聴器

  • オープンフィッティング補聴器1

    最初のリサウンドエア

  • オープンフィッティング補聴器2

    最近の外耳道レシーバー型

  • オープンフィッティング補聴器3

    デザイン性のある耳穴型も

■中~高度用にもなるオープンフィッティング補聴器

  • オープンフィッティング補聴器4

    スリムチューブ型

  • オープンフィッティング補聴器5

    外耳道レシーバー型

  • オープンフィッティング補聴器6

    外耳道レシーバー型に
    パワーモールド

※外耳道レシバー型は、レシバーを耳穴に入れるので出力音質が変わらず、耳穴も見え、チューブも細い電線なので目立ちません。
レシバーを高出力タイプに変え、ハウリング対策にパワーモールドを作れば高度まで使えます。

このフィッティング技術は自然の直接音と補聴器からの増幅音との時間差でエコーが起こらないように数十ミリ秒のデジタル処理スピードが要求されます。
臨床例では騒音抑制機能があった方が聞きやすいようです。
今後耳かけタイプ補聴器はこの様な大きさと形になっていくと思われます。

■ オープンフィッティングの利点をまとめると

  1. 自分の声がこもらない
  2. 自分の声が変わらない
  3. 食物を噛む音が響かず自然
  4. 軽いので装用感がよい
  5. スリムチューブなので目立たない
  6. 必要な時にのみ装用しても良い
  7. 片耳の場合、左右どちらへでも変更できる
  8. デザインが魅力的な機種もある

♦♦ おしゃれで綺麗な ヒヤリング機器が出来ました。