聞こえと聴こえ




 補聴器の装用によって今まで聞こえなかったような言葉や音も聞こえるようになりますが、誰もが必ずしも良く聞こえるようになる訳ではありません。
医院での聴力検査は病気の予防と治療の為に行うのでその方法には多くの種類がありますが、販売店では補聴器のフィッティングの為だけに行うので、多くは純音聴力測定と語音弁別能(言葉の明瞭度)測定を行います。





■ 聞こえ


純音聴力測定とは周波数毎に(低音から高音までの音の高さの)初めて聞こえる音の『 強さ 』を知ることです。


聴力図
(これは下の図のオージオグラムで表します。)

聴力図


蝸牛(この聞こえの度合いは下の図の耳介から蝸牛までの伝達と感覚能力によって左右されます。)


耳介から蝸牛までの図


■ 聴こえ


語音弁別能(言葉の明瞭度)測定とは、(日本語)の言葉がどれだけ『 正しく聴き取れるか 』を音の強さを変えて調べます。最も良かった得点がその方の言葉の明瞭度=弁別能力となります。


ことばの語表 ことばのきこえ方検査用紙

ことばの語表を音の強さを換えてテストします。○野○子さんの場合会話の大きさの70dB(デシベル)では10点ですが、相当大きな100dBでは90点ですから音を大きくさえすればよく聞こえるようです。


聴覚神経と脳までの伝達経路図

言葉の理解は蝸牛の有毛細胞から先の聴覚神経と脳までの伝達経路、そして大脳の記憶などに影響されると言われます。





△は補聴器なし(裸耳)での語音明瞭度(%)
▲は補聴器を装用した時のもの。
60デシベル(静かな所での1体の会話)では30%(3割の言葉が正答)だったのが、補聴器を装用すると80%になります。
また、この補聴器の調整だと80デシベルで100%ですが、もう少し小さい音で同程度に調整できるといいです。正常な人(正常語音明瞭度曲線)は40デシベルで100%聞き取れます。



■聴力図に合わせて補聴器で聞こえない音域を補正しても、語音弁別能力が30%以下では言葉だけ聞いても100%理解することは難しいと思われます。
一般的に75%以上であれば補聴器の効果は大きく、35%~75%であれば補聴器効果はあるものの大事な事項は紙に書いて確認することが必要です。